
来年2月のミラノ・コルティナ・オリンピック(五輪)の代表選考が佳境を迎えている。
雪上競技は1月中旬まで選考対象の大会がある種目が多く、チャンスはまだ消えていない。中でも注目なのは、五輪出場枠と代表入りの「二つの争い」が熱を帯びるスキージャンプ男子だ。
ジャンプの五輪出場枠は、昨年7月~来年1月18日のサマーグランプリとW杯の成績で算出される「五輪出場枠配分リスト」で決まる。
男女とも各国・地域で最大4枠。男子は配分リストの25位以内に4人が入れれば、4枠を確保できる。
日本勢は28日時点で、小林陵侑(チームROY)、二階堂蓮(日本ビール)、中村直幹(フライングラボラトリー)に次いで、昨冬にブレークした25歳、小林朔太郎(雪印メグミルク)がぎりぎりの25位につける。
だが、年末年始にドイツとオーストリアを転戦して計4試合を戦う「ジャンプ週間」の第1戦を前に、カギを握る小林朔は戸惑っていた。
ドイツ・オーベルストドルフで28日にあった第1戦の予選を通過した彼はもどかしげだった。
今年のサマーグランプリで一気にポイントを稼いで配分リスト25位以内に入ったが、W杯で成績が急降下。W杯はここまで11試合を終えて、W杯得点が与えられる30位以内に入ったのが4試合だけ。最高位は開幕戦の17位という状況だ。
「(調子の)波があるというより、ずっと落ちっぱなし。夏と冬の(助走路の)滑りの違いというところで苦戦している」
陶製の夏の助走路から、滑りやすい氷のレールに変わった途端、助走姿勢をスムーズに取れなくなって苦しむ選手は多い。
まして、W杯に開幕戦から参戦するのは、小林朔にとっては今季が初めてだ。
それでも、「4枠目確保」の重圧、細身の体で受けとめようと懸命に前を向く。
「この重圧は背負うべきだと思いますし、自分にしか今、4枠目を取るチャンスがない。やるべきことをやって枠は確保したい」
光明は、所属先の伊東大貴・雪印メグミルク監督が12月中旬から欧州遠征に合流したことだ。試合の合間の練習で本来の姿を取り戻すのは簡単ではないが、いろいろな「引き出し」を試しているという。
五輪初出場を狙う小林朔は言う。
「詳しく色々とコーチングしてもらって、それで気づけて、だんだんと戻しているところもある。少しずつ、何かつかみかけてはいる」
出場枠の確保を前提に、その4枠目争いも激しい。

今回のジャンプ週間の日本の出場枠は6。
小林朔のほか、下部大会で上位の成績をおさめた小林潤志郎(Wynn.)、佐藤幸椰(雪印メグミルク)も参戦。32歳の内藤智文(山形市役所)を加えた4人が4番手を争っている。
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内藤は12月14日の試合で自己最高の6位に入り、五輪派遣基準をクリアした。さらに、W杯総合ランキングで日本勢の4番手に急浮上。逆転での代表入りがちらつくが、「(五輪に)何人行けるか分からない。あんまり考えず、自分のジャンプを積み重ねることが大事」と冷静だ。

3大会連続の五輪出場を狙う小林潤は経験豊富で侮れない。
「表彰台に上がれば(W杯総合ランキングが)変わってくるので、そこを目指してやりたい。まあ、楽しみます」
泣いても笑っても、残り約3週間。
「二つの争い」は、1月17日、18日に札幌・大倉山であるW杯で決着する。4枠を確保できれば、今季のW杯個人総合ランキングで日本勢の上位4人が選ばれる。

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