大相撲初場所(11~25日、両国国技館)で注目の1人が、新大関として挑むウクライナ出身の安青錦(21、安治川部屋)だ。昨年11月の九州場所で初優勝を果たした。破竹の勢いで番付を上げていく姿が、戦禍の母国に希望を与えている。
JR三鷹駅から徒歩約15分。青色と黄色の国旗を掲げるウクライナ料理店「ウクライナカフェ・クラヤヌィ」(東京都武蔵野市)が見えてくる。店内では数人のウクライナ人スタッフが料理を仕込んでいる。壁には安青錦の似顔絵や、初の賜杯(しはい)を手にした際の新聞記事が並ぶ。
店長のリセンコ・ナタリアさん(46)は「彼を見ていると、自分も頑張ろうと思える。ウクライナの誇りです」。
安青錦に初めてウクライナ料理を振る舞ったのは昨年9月ごろ。2人は元々、国際協力機構(JICA)を通じたイベントで交流があり、「ウクライナ料理を食べたい」との要望を受けて、東京都内の稽古場に料理を届けた。約1カ月後、「今度はお店で母国の料理を味わいたい」と来店したという。
安青錦が特に気に入ったのが「ワレニキ」という水ギョーザに似た見た目のウクライナの伝統料理だ。小麦粉、水などでつくった生地の中にジャガイモやキャベツ、鶏肉などを入れる。大盛りのボルシチも平らげ、部屋の力士にも食べて欲しいと、ワレニキを持ち帰ったという。
最近は安青錦の活躍を見て、福岡県や静岡県など遠方から日本人が店を訪れるという。
ナタリアさんは安青錦について「とにかく優しく、若いのに大人っぽい。冷静に物事を考えられるのが、相撲の強さにもつながっていると感じた」という。
本音も知った。母国の親族や友人の安否を気にかけ、相撲については「土俵下で取組を待つ間はいつもプレッシャーや緊張を感じている」と自分の弱さも打ち明けてくれた。
ナタリアさんは「安青錦関もたくさんの困難を乗り越えている。『みんなも頑張ろう』という私たちウクライナ人へのエールだと受け取った」。
今場所は大関に昇進し、真価が問われる。
「先場所に負けないような成績を出せるように頑張りたい」
母国の声援を背に、新しい年の土俵に立つ。
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