8月最終週の26日~31日、4勝2敗と勝ち越した阪神タイガースはマジックを7に減らしました。これで、12カード連続で負け越しなし。“Xデー”が迫っています。 攻守ともに良かった8月26日のDeNA戦の9回、ショート&レフトを固定しない理由など、矢野燿大さんに解説していただきました。
【石井大智投手】土壇場の逆転弾からの登板「気持ちも準備も100%はできない状態」
8月26日(火)のDeNA戦。2点ビハインドで迎えた9回オモテ。佐藤輝明選手の犠牲フライで1点差に。続く大山悠輔選手が初球を捉え逆転ホームランを放ちました。
(矢野燿大さん)
「バッテリーとしては、油断というか、エアポケットというか…(佐藤選手の)犠牲フライで流れが一旦止まっているんですよ。『良かった、あと1点差ある』と。しかもランナー1塁なので…ランナー2塁だったら相手も警戒して初球入りますが、『1点で抑えられた。しかもランナー1塁。初級ストライク欲しいな…』という気持ちを大山選手が1発で仕留めた。素晴らしいホームランでした」
その後の9回ウラ、マウンドに上がったのは石井大智投手。矢野さんは「いつもと違うように見えた」と言います。
(矢野燿大さん)
「この試合、タイガースは8回まで0点で全く勝てる雰囲気がなかったんです。そうなると、『今日はさすがに流れ的に負けやな』と先を読んでしまうんです。9回に犠牲フライで1点を取ったときも、まだそんなに準備できてないと思うんですよ。『今日はないんちゃうかな、やっぱり流れ止まったか、キャッチボールぐらい、やろうか、やれへんか…』と思っていたら『え!初球ホームラン!?』と」
「それで急に練習を始めるわけですよ。『自分が行くよ』という準備ができていたら、こういうことはないんですけど。気持ちも準備も100%はできない状態で行くマウンドってすごく難しい」
【小幡竜平選手】石井選手を救った超ファインプレー「めちゃくちゃ大きかった」
そんな石井投手を助けたのが小幡竜平選手。1アウト満塁のピンチで、センターへ抜けようかという打球をダイビングキャッチしました。
(矢野燿大さん)
「打球は少し詰まっていたので、タイミングが難しいと思います。でも、スライス回転がかかっていて小幡選手の方に打球が寄ってきたので、うまくタイミングを合わせて捕ることができた。チームの勝ちにも(石井投手の)記録もつながりましたから、このプレーはめちゃくちゃ大きかったですね」
ショート&レフトを固定しない2つの理由
また、藤川球児監督はショートとレフトを固定せず、若手を積極的に起用していますが、その理由は2つあると矢野さんは分析します。
<理由1>固定できるポジションがあるからこそできる作戦
(矢野燿大さん)
「今のタイガースは、ショートとレフト以外は固定のメンバー。だからこそ、ショートとレフトは若手やあまり試合に出ていない選手で競争させて、全員のモチベーションを上げながらやっているんじゃないかなと」
<理由2>チーム内での競争意識が出てくる
(矢野燿大さん)
「自分も出られるんじゃないか、チャンスをもらえるんじゃないかと、みんなのモチベーションが上がりますから。若手ではないですけど、熊谷敬宥選手はそのチャンスを掴みかけていますし、中川勇斗選手もなかなかいい働きをしています。髙寺望夢選手は良いバッティングがありましたが、この前バントをしたときに走っていなくてちょっと評価を下げたり…いろんな競争があって、いい緊張感・モチベーションの中で若手選手たちができているのは、全体にとっていいと思います」
競争から抜け出すためには、「それぞれの強みに加えて、求められることに対応できるか」「やれることをしっかりやる」ことが重要だと矢野さんは話します。
「佐藤選手ならでは」珍しいエンタイトル2ベース
8月31日(日)の巨人戦では、珍しいプレーもありました。佐藤選手のエンタイトル2ベースです。ライトのポール際に上がった打球が浜風で戻されてフェアグラウンドに落ち、そこからスタンドに入りました。
(矢野燿大さん)
「甲子園は浜風が強いので、銀傘(内野席を覆う屋根)を超えるとフライが戻るんですよ。佐藤選手の打球は他の選手よりも高いので、スタンドを超えたあたりから急に戻るというのは佐藤選手ならでは。インサイドアウトで良い打ち方をしたから、ちょっとスライス回転がかかっていると思います」
連勝でマジックを「7」に減らしたタイガース。9月1日時点で、最短優勝は9月5日です。今週中にも優勝が決まるかもしれません。
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