先週後半、実りの秋を迎える学生スポーツの先陣を切って、関西学生アメリカンフットボールリーグが開幕(ディヴィジョン1)。開幕節では、関大・立命・関学・近大の4校が勝利をおさめました。

 8月28日に行われた開幕戦は、近年、関学・立命とともに3強の一角として関西学生リーグをリードしてきた関西大学カイザーズと名門・京都大学ギャングスターズの対決。例年接戦を繰り広げてきた両チームですが、激しい雨の中始まった一戦は、予想通りの肉弾戦となります。

『お前ならできる』須田啓太選手からアドバイス

 先制したのは関西大学。試合開始2分50秒で、今シーズンのキャプテンを務めるエース・RB山嵜紀之選手が、切れ味抜群のランで29ヤードを走り切ってタッチダウン。キックも決めて、幸先よく7点をリードします。

 しかし、その後は京都大学が試合をコントロール。強力ラインを前面に、じわりじわりと前進して関西大学のエンドゾーンに近づいていきます。ところが、FGを狙った大事な局面でスナップミスが出るなど、なかなか得点に結びつけることができません。逆に関西大学は、第2クオーターの5分2秒、中井慎之祐選手が31ヤードのFGに成功。10対0とリードをひろげて前半を折り返します。

 それでも、2ポゼッションで逆転可能な得点差。第3クオーターに入ると、再び京都大学がペースを握ります。雨が上がった後半は、ランだけではなくパスも交えながら1stダウンを積み重ねていきます。しかし、FGレンジまで攻め込みながら痛恨のインターセプト。またしても、絶好の場面で攻撃権を失ってしまいました。攻め込まれながらも、我慢強くチャンスをうかがって、DB石井慶汰選手のインターセプトに結びつけた関大守備陣の冷静な対応が光りました。

 そして第4クオーター、関大守備陣の粘りに攻撃陣がようやくこたえます。昨年までチームをけん引した須田啓太選手の背番号8を受け継いで攻撃の司令塔QBに就いた高井法平選手が落ち着いたゲームコントロールで京大陣内の27ヤードまで攻め込むと、FGが狙える場面でランプレーを選択。オフェンスラインが作った大きな穴をRB前川礼男選手が一気に駆け抜けてタッチダウンに結びつけました。

 今シーズンから就任した和久憲三ヘッドコーチが「試合を決める大事な場面、4thダウンでFGも狙える場面だったが、ここが勝負とサインを出した」と語ったプレー。「須田さんから、『お前ならできる』とアドバイスをいただいていた。大事な場面でも落ち着いてプレーコールができた」と語った高井選手。大きなギャップをつくったオフェンスラインとともに、ここ一番で抜群の集中力を見せました。

 この1本で勝負あり。京都大学も試合終了間際にタッチダウンを奪って6点を返すと、デザインされた鮮やかなオンサイドキックを決めて攻撃権に結びつけますが、反撃もここまで。最後まで冷静に時間を進めた関大守備陣の壁を打ち破ることはできませんでした。

 獲得ヤードでは下回りながらも、要所を抑えて17対6と開幕戦を勝利に結びつけた関西大学カイザーズ。キャプテンの山嵜選手は「(大事な開幕戦に)勝利することはできたが、反省材料も多く出た試合だった。次は、去年敗れた相手だけに必ず勝利したい、そのためには、しっかりと修正した上で、練習から自分たちのスタンダードをもう一段上げないといけない」と話しました。次節は、昨シーズンまさかの敗戦を喫した近畿大学との対戦です。

 その他の試合、昨シーズン日本一に輝いた立命館大学は、細かなミスが出て序盤こそ苦しんだものの、多彩な攻撃陣が力を発揮して同志社大学に大勝。一方、王座奪回を目指す関西学院大学は、注目の兄弟QB、星野秀太・星野太吾の2人がそれぞれタッチダウンを演出する活躍で甲南大学に快勝しました。神戸大学に逆転勝ちした近畿大学とともに、開幕節を勝利で飾っています。

 第2節、9月6日(土)には、早くも関西大学と近畿大学が激突します。

<開幕節の結果>

関西大学 17-6 京都大学
立命館大学 49-17 同志社大学
近畿大学 23-10 神戸大学
関西学院大学 52-7 甲南大学

<第2節対戦カード>

▼9月6日(土)ヤンマースタジアム長居
近畿大学 対 関西大学 午後3時~
同志社大学 対 関西学院大学 午後5時40分~                
▼9月7日(日)たけびしスタジアム京都
神戸大学 対 京都大学 午後2時40分~
立命館大学 対 甲南大学 午後5時20分~

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