秋場所注目の若隆景【NHKプラスで配信】

2025年9月17日まで配信中
地元 福島市での巡業 兄・若元春と(2025年8月22日)

巡業では母校の学法福島高校の相撲部員に胸を貸したり、1歳年上の兄・若元春との兄弟対決を披露したりして、およそ2500人が詰めかけた会場を沸かせました。

福島のファンからは大関昇進に向けて「頑張ってほしい」という声が寄せられ、本人もそのことばをしっかりと受け止めています。

若隆景
「声援をたくさんもらった。そういう声援に応えられる場所に向けて稽古に精進していきたい」

下からの攻めで“大関候補”に

若隆景は身長が1メートル83センチ、体重が137キロ。

いずれも幕内の平均を下回り、力士として決して大きな体ではありません。

大きな相手に勝つにはどうすればいいのか。

身につけたのが低い姿勢から強烈なおっつけなどで相手の体を起こす「下からの攻め」です。

相撲を始めた小学生の頃から小柄で、ずっと練習してきたみずからのスタイル。

初優勝(2022年3月)

初めて関脇に昇進した3年前の春場所ではこの「下からの攻め」を徹底し、大関・貴景勝を破るなどして初優勝。

早くから“次の大関候補”として期待されてきました。

2年前に右ひざ大けが 手術を経て幕下に

しかし試練が訪れます。

2年前の春場所13日目。

琴ノ若、今の大関・琴櫻との対戦でした。

右ひざを負傷(2023年3月)

若隆景は相手の攻めを土俵際でこらえながら倒れ、物言いの末、取り直しに。この一番で右ひざの前十字じん帯を負傷しました。

若隆景は倒れた瞬間、すぐに大きなけがをしたことが分かったといいます。

「倒れたときにひざから音がした。立ったときにひざを回したら、ぐらぐらするような感覚だった」

琴ノ若(現・琴櫻)との一番(2023年3月)

取り直しの一番では痛みをこらえて、なんとか相撲を取り「押し出し」で勝ったものの、翌日から途中休場。

場所後には右ひざの手術に踏み切りました。

その後も3場所連続で休場せざるを得ず、関脇だった番付は一気に幕下まで下がることになりました。

「“大関候補”と名前を挙げてもらった中でけがをした。同じ三役で戦っていた力士がどんどん大関に上がって悔しさを感じた」

復帰の励みは息子のことば

再び幕内の土俵に戻ろうと懸命にリハビリを続けた若隆景。

励みになったのが長男・浬くんでした。

長男・浬くんと土俵入り(2025年8月)

リハビリで大好きな相撲が取れない日々が続く中、息子からあることばをかけられたといいます。

「『最近、テレビに出ないね』と言われたのが印象に残っている。もう一度、上位の番付で相撲を取るんだという気持ちでリハビリはやっていた。家族は自分の原動力の1つ。家族の存在があるから『頑張ろう』という気持ちがより一層強くなる」

“下から”に加え“前に”攻める

息子の激励を胸に、復帰してから11場所目で再び関脇まではい上がりました。

稽古では深く腰を落として、貫いてきた「下からの攻め」に磨きをかけています。

加えて、復帰後に意識するのが前に出ることです。

相手とぶつかって引いてしまうと今もテーピングを巻いている右ひざに負担がかかるため、以前より前へと攻める気持ちが強くなりました。

場所前に発熱も稽古でいい内容

大関昇進がかかる秋場所。

若隆景は今月4日の夜に発熱し、翌日行われた横綱審議委員会の稽古総見を欠席しました。

調整具合に関心が集まる中、8日には所属する時津風一門の連合稽古に参加しました。

4日ぶりの稽古となりましたが、関脇・霧島を一気に土俵の外に出すなど、三役経験者を中心に11番取って8勝。

病み上がりにも関わらず、ねらいどおり「下から」「前に出る」攻めが光りました。

稽古後には「体の調子は悪くない」と冷静に語った若隆景。

多くの人の期待を力に変え、勝負の場所に向かいます。

「(大関は)大相撲の世界に入った頃は雲の上の存在。いまはしっかり自分の目標とする番付なので、悔いの残らないように場所を迎えたい。秋場所では自分らしい相撲を1日一番出していきたい」

(2025年9月10日「ニュースウオッチ9」で放送)

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