定例記者会見を開く日証協の日比野会長(17日)

日本証券業協会は17日、2026年度の税制改正要望を公表した。少額投資非課税制度(NISA)のつみたて投資枠の投資可能年齢制限を撤廃し、未成年に広げることなどを要望した。日比野隆司会長は同日の記者会見で「重点は若年層への資産シフトであり、しっかり導入してほしい」と話した。

投資信託協会、全国証券取引所協議会と連名で要望した。つみたて枠の未成年利用は金融庁も税制改正要望に盛り込んでいた。日証協によれば全証券会社の25年3月末〜6月末のNISA口座増加数は41万件で、前年同期と比べて半分に減速している。

日証協はこのほか、上場株の相続時の税制優遇も要望した。日比野会長は「企業の政策保有株がゼロに近づく状況で(個人は)重要な安定株主であり、相続が近づくと売ってしまう行動を抑制する税制を期待する」と話した。

証券口座乗っ取り被害を受けた個人への補償を巡っては、対面大手証券が原状回復措置を決めた一方、主要なネット証券は原則被害額の2分の1とした。日比野会長は「真摯な検討の結果であり、信頼回復の観点でできることはやってきている」と強調した。

不正会計が発覚した人工知能(AI)スタートアップのオルツを巡って日比野会長は「市場や監査への信頼を揺るがすもので大変遺憾だ」と話した。「スタートアップ全般に過大な負荷がかかる規制強化ではなく、不正に対する厳罰化で抑止力を高める方向が望ましい」と求めた。

辞意を示した石破茂首相について「資産運用立国をしっかり引き継いでいただいた点で評価している」と語った。そのうえで「次の政権にも資産形成や企業の成長、日本経済の活性化につながる流れをさらに推し進めていただきたい」と要望した。

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