大阪・関西万博で働く人を対象とした合同企業説明会でブースに集まる来場者ら=大阪市住之江区で2025年9月14日、新宮達撮影
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 大阪・関西万博の閉幕(10月13日)が迫る中、会場でパビリオンスタッフなどとして働く人材を採用しようとする企業の動きが活発になっている。語学力が高く、ホスピタリティー(心のこもったおもてなし)などを磨いた「即戦力」の人材として企業の視線が集まっている。

 万博会場に近い大阪市住之江区のATCホールで9月14~15日、万博で働く人向けの合同企業説明会が開かれた。ホテル業や小売業など107社がブースを設け、2日間で約2500人が来場した。

 人材派遣大手のパソナが企画。実松恭子常務執行役員は「今回の万博では約2万人が働いていると言われる。国家プロジェクトを経験したホスピタリティーと経験値はこれからの仕事に役立つと考えている」と強調した。

 企業パビリオンで接客を担当する大阪府在住の大学3年、中村明日香さん(20)は「万博での経験を生かし、ホテルや航空といった分野で働けたら」と期待を込める。スペイン館でスタッフらの運営管理を担当するドイツ出身のセガット・ショエルさん(30)は「万博後は国際交流などの仕事に就き、自分のキャリアを高めるとともに自分の可能性も探りたい」と流ちょうな日本語で話した。

大阪・関西万博で働く人を対象とした合同企業説明会の外国人の相談コーナー=大阪市住之江区で2025年9月14日、新宮達撮影
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 この合同企業説明会でパソナは、日本語を勉強中の外国人をサポートするコーナーを設置し、相談に対応。スペイン出身でオーストリア館で働くマジョラル・セリアさん(29)とハルケア・ピラーさん(27)は、異国で休暇を楽しみながら一定の就労ができる「ワーキングホリデー制度」を使って昨年11月に訪日。「日本語のスキルをもっと上げて、何かの仕事を探したい」と話した。

 万博で働く人への企業側の期待は高い。リーガロイヤルホテルを展開するロイヤルホテルの採用担当者は「グループで複数の新規展開を予定しており、接客技術やホスピタリティーの高い人を一人でも多く採用したい」と話した。

 阪急阪神百貨店を傘下に持つエイチ・ツー・オーリテイリングの荒木直也社長は、海外を含む富裕層の取り込みが今後の成長に不可欠だとの認識を示す。「ホスピタリティーを持って、富裕層のお客さまとコミュニケーションを取り続けていける人材をぜひ採用したい」と期待を示した。

 大阪市此花区のテーマパーク、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)を運営するユー・エス・ジェイは、この合同企業説明会の他にも大阪市内のハローワークで採用説明会を8月から月1回、11月まで開く予定。トータルで100人超の採用を目指しているといい、担当者は「万博の業務はテーマパークと親和性が高く魅力的。万博が始まる前は当社への新規の応募者が減って不安だったが、万博が終わるのはチャンスだ。まさに即戦力なので、積極的に採用していく」と話した。【新宮達】

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