公正取引委員会の看板。公正取引委員会などが入る中央合同庁舎第6号館B・C棟で=東京都千代田区霞が関で2019年、本橋和夫撮影

 米国製オートバイ「ハーレーダビッドソン」の国内ディーラーに対し過剰で達成困難な販売ノルマを一方的に課したなどとして、公正取引委員会は18日、日本法人「ハーレーダビッドソンジャパン(HDJ)」の独占禁止法違反(優越的地位の乱用)を認定し、再発防止を求める排除措置命令と2億1147万円の課徴金納付命令を出した。

 ハーレーダビッドソンは米国を代表する大型オートバイの老舗ブランド。日本国内での販売はHDJと専売契約を結んだ正規ディーラー店舗に限られている。

 公取委によると、HDJは遅くとも2023年1月末以降、ディーラー38社に対して、過剰な販売ノルマを合意なく一方的に設定。達成率が一定の割合に満たなければ、販売報奨金(インセンティブ)の支払いや専売契約の更新に応じないなどと示唆していた。

 販売ノルマは「リテール・セールズ・アウトレット(RSO)」と呼ばれ、HDJが毎年1月、年間の販売目標台数を「前年比130%」などと定め、「合意書」を作成。各ディーラーに署名や押印を迫り、下方修正は聞き入れなかった。

ハーレーダビッドソンを巡る独占禁止法違反の構図

 各ディーラーはノルマを達成するため、従業員名義などで新車を買い取る「自社登録」を繰り返し、23~24年には、38社に課されたノルマ全体の約3割を自社登録が占めたという。

 ただし、一度買い取った車体は新車として扱えず、新古車として中古市場に安価で流したり、試乗車として使用したりするしかなく、経営を圧迫。また、HDJからの指示で「ハーレー仕様」に改装した店舗も多く、取引先を別のメーカーに変更するのも容易ではなかったとされる。

 公取委の担当者は「ハーレーに依存せざるを得ないディーラーは新車の買い取りを繰り返し、ノルマを達成すればするほど赤字が膨らむ。そうした状況を認識したうえでHDJは過剰なノルマを課し、自社の利益を確保していた」と指摘した。【山田豊】

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