
九州電力子会社の九電みらいエナジー(福岡市)は19日、軽くて柔軟性の高い次世代型太陽電池「カルコパイライト太陽電池」の実証試験を福岡空港(同)で12月から実施すると発表した。実際の発電量や施工のしやすさを検証する。同様に薄く曲がる「ペロブスカイト太陽電池」と組み合わせることで発電効率が高められると期待されている。
カルコパイライトは重さが1平方メートルあたり0.8キログラムで、発電効率は18%。既存のシリコン型太陽電池と比べて発電効率は若干下回るが、重さは約20分の1だ。近年開発が進むペロブスカイトよりも軽量で耐用年数が長い。

実証試験には、カルコパイライト太陽電池を開発するスタートアップのPXP(相模原市)などが協力する。11月中に国際線ターミナルビルの屋根に12平方メートルの太陽電池を設置し、12月から2026年2月にかけて実証データを収集する。
同施設にはみらいエナジーが太陽光パネルを設置しており、既存品と性能を比較する。カルコパイライトは弱い光でも発電できるとされ、発電可能な時間帯なども実証で確認する。
パネル設置にクレーンを使わず、屋根付近の狭い通路を作業員がパネルを運び設置するなど軽量素材の施工性も確認する。パネルや機器の取り付けは日揮が技術支援して九電工が担う。26年1〜2月に国内線ターミナルビル2階に実証事業の展示ブースを設けて素材をアピールする。
実証事業の費用は1000万円強で、500万円は福岡県のペロブスカイト太陽電池実証事業に関する補助金を活用する。
みらいエナジーは工場の屋根などに太陽光パネルを設置しているが、「設置許可を受けても従来の重い太陽光パネルでは屋根の強度が足りず設置できないケースがあった」(田中義人太陽光事業部長)という。軽量な太陽光パネルなら耐荷重性の低い屋根にも設置できるほか、架台が必要ないため工程も短縮できる。
ペロブスカイトは主に紫外光で、カルコパイライトは赤外光で発電する。将来は両方を組み合わせて発電効率を28%まで高める「タンデム型」の活用が期待されている。一方のみ設置した場合と比べてコストは約10%増えるものの、発電効率は1.5倍に高まり、既存の太陽電池を上回る見込みだ。
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