アルクタスはiPS細胞を使った膝の治療法を開発する(京都市内での実験の様子)

iPS細胞で膝軟骨を再生する技術を開発するスタートアップのArktus Therapeutics(アルクタスセラピューティクス、京都市)は22日、複数のベンチャーキャピタル(VC)などから6億6000万円を調達したと発表した。軟骨がすり減る変形性膝関節症の治療法の開発を進める。2030年以降の実用化を目指す。

変形性膝関節症は高齢者などが多くわずらい国内だけで約800万人の患者がいるとされる。現在は軟骨の代わりに金属製の人工関節を埋め込む治療法が一般的だ。人工関節は約10年ごとに交換する必要があり、患者の手術負担が大きいという課題がある。

アルクタスはiPS細胞から分厚いシート状の軟骨をつくり患者の膝に移植する治療法の確立を目指している。3Dプリンター技術を使って本物の軟骨に近い形状にする。既存の治療法と比べて金属の破損などの問題が生じにくくなるとみている。

今回調達した資金は非臨床試験に投資する。動物を使った実験で安全性や有効性を検証する。順調に進めば27年に臨床試験(治験)を開始する目標だ。

ベンチャーキャピタル(VC)の京都大学イノベーションキャピタル(京都市)、京都キャピタルパートナーズ(京都市)、QBキャピタル(福岡市)、中信ベンチャーキャピタル(京都市)などが引き受けた。アルクタスは佐賀大学と京大iPS細胞研究所の研究成果を生かして23年に創業した。

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