ダンプトラックやタンクローリーといった特装車の荷台部分に取り付ける架装物などの価格でカルテルを結んでいたとして、公正取引委員会は24日、極東開発工業と子会社の日本トレクス(愛知県豊川市)に独占禁止法違反(不当な取引制限)で総額約59億円の課徴金納付命令を出した。

課徴金の内訳は極東開発が26億189万円で、日本トレクスが33億2364万円。2社には他の事業者と情報交換をしないといった再発防止を求める排除措置も命じた。

架装物は極東開発と新明和工業の間で、運転車両に連結させる荷台部分であるトレーラーは日本トレクスと新明和子会社の東邦車輛(横浜市)の間でカルテルが結ばれていたと認定された。

新明和側は調査開始前に課徴金減免(リーニエンシー)制度に基づき自主申告したため、命令を免れた。

公取委によると、極東開発と新明和は2021年9月以降、月1回の頻度で行われる部長級の会合で建築・物流事業者などに販売する架装物などの価格について情報交換していた。遅くとも22年2月までに価格引き上げを合意するなど、2度にわたってカルテルを結んでいた。

日本トレクスと東邦車輛は21年9月以降にトレーラーの販売価格について情報交換し、複数回にわたって販売価格の引き上げを合意していた。

いずれのカルテルも鋼材やアルミといった原材料の高騰を転嫁するために結ばれており、最初の合意からの半年で1割ほど販売価格が実際に引き上げられていた。業界ではかねて架装物などの納品期間について会合で情報交換する慣行が存在しており、カルテルの素地になったとみられる。

一般的に特装車はトラックメーカーが製造する車両に、架装メーカーが製造する装置を取り付ける。違反行為が認定されたダンプトラックやタンクローリー、ゴミ収集車といった特装車の架装物の市場では、極東開発と新明和でシェアの7割を占めるとされる。

極東開発は「グループをあげてコンプライアンスの徹底を図るとともに、内部管理体制を強化し再発防止に努め、信頼の回復に取り組んでいく」とコメントを出した。

独禁法は複数の企業が話し合って価格や販売量を設定するカルテルを「不当な取引制限」として禁じている。

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