報道陣に公開した塩の保管庫(24日、茨城県神栖市)

三井物産は24日、オーストラリアで塩の製造を今後数年で1割増やすと明らかにした。豪州西部のオンズロー塩田を拡張し、年間生産量を270万トンから300万トン程度まで増やす。投資額は公表していない。世界の塩の総需要は人口増や化学品需要の広がりでアジアを中心に増え続ける見通しだ。安定収益が見込める事業として力を入れる。

同日開いた事業説明会で公表した。オンズローでは海水を塩田に引き込み、3年かけて天日干しで塩を結晶化する。食料用のほか塩素やカセイソーダなど化学品の原料として出荷している。ベーシックマテリアルズ本部・塩事業室長の岡村裕子氏は「人件費の高騰を補うためにも(従業員あたりの)生産量を上げて対応したい」と説明する。

三井物産は豪州西部にオンズロー含め2つの塩田を持つ。年間生産量は計400万トンで、そのうち150万〜160万トン程度を日本に輸入している。日本では減塩志向で食料用を中心に塩の需要が漸減しており、増産分は主にアジア向けに出荷する。

三井物産の豪州西部の塩は全て天日干しで、石炭を燃やして海水を煮詰める方式と比べて製造にかかる二酸化炭素(CO2)の排出量を150分の1に抑えられる。環境負荷を抑えた点を打ち出し、CO2の削減量認証制度「J-クレジット」を活用した「カーボンフリー塩」の販売も検討する。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。