トラックの荷台部分に積載する装備「架装物」やトレーラーの販売をめぐってカルテルを結んでいたとして、公正取引委員会は24日、製造・販売4社の独占禁止法違反(不当な取引制限)を認定し、うち2社に排除措置命令と計59億2553万円の課徴金納付命令を出した。

 4社は極東開発工業(大阪市)とその完全子会社の日本トレクス(愛知県豊川市)、新明和工業(兵庫県宝塚市)とその完全子会社の東邦車両(横浜市)。新明和と東邦車両は課徴金減免制度(リーニエンシー)に基づき調査前に違反を申請し、処分を免れた。

 カルテルが結ばれたのはダンプカー、コンテナ車、タンクローリー、ミキサー車、ごみ収集車といった「特装車」の架装物の販売(市場規模約1200億円)と、トレーラーの販売(同約900億円)。親会社2社が架装物の市場でシェア約70%、子会社2社がトレーラーの市場でシェア約81%だったという。

価格引き上げ合意、半年で13%上昇

 公取委の発表によると、親会社2社の部長級社員は遅くとも2022年2月までに、月1回ほど対面で情報交換をし、22年4月以降に販売する架装物の価格を引き上げる合意をした。価格は合意から半年で平均約13%上昇したという。一部の架装物は23年4月以降の販売価格をさらに引き上げる合意をしていた。また子会社2社は、遅くとも21~23年に販売するトレーラーの価格を3年連続で引き上げる合意をした。

 架装物とトレーラーの原材料となる鋼材価格が高騰し、4社は自社の利益を確保するために競争を回避し、価格をつり上げる狙いがあったとみられる。販売先は運送、建設、ごみ収集会社などで、不当に引き上げられた価格分はコスト増加分として運送費や建設費に転嫁され、最終的に消費者の負担につながっていた可能性がある。

 極東開発工業はホームページに「グループをあげてコンプライアンスの徹底を図り、再発防止に努め信頼の回復に取り組む」などとするコメントを出した。新明和工業は取材に「法令遵守の態勢を強化し、信頼回復に努める」などとコメントした。

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