デルタ航空の機体=ロイター

【ヒューストン=大平祐嗣】米航空大手のデルタ航空が欧州エアバスの「A320」の機体300機以上のエンジンを交換していることが25日、わかった。人体に有毒なガスが機内に放出される事故を防ぐためだという。米紙ウォール・ストリート・ジャーナルが報じた。A320は世界の航空会社が採用する小型機で影響が広がる可能性がある。

交換対象となったのは補助動力装置(APU)と呼ばれるエンジン。空港での地上移動などで使われる。内部の劣化部分から漏れた潤滑油が気化し、有害な化学物質が混ざったガスが機内に放出する発煙事故が起きることがあったという。

有毒なガスは吸引することで脳振盪(しんとう)に似た痛みや吐き気などの症状を引き起こすことがある。WSJによると、同種の事故は様々な航空会社で起きており2024年に米国大手15社が報告した発煙事故は600件以上に上った。エアバスがA320シリーズで新型の「A320neo」を投入した2016年以降に増えたという。

デルタは事故を防ぐために22年からAPUの交換を始めており、9割のA320の機体で交換を完了した。A320のAPUは米ハネウェル社と米プラット&ホイットニー製だという。

A320はナローボディー(短通路)の小型機で世界の累計納入機数は1万機を超えるエアバスの代表的な機体だ。A320シリーズは全日本空輸(ANA)と日本航空(JAL)も採用している。

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