公正取引委員会=東京都千代田区で2019年9月2日、松本尚也撮影

 テレビ番組制作に携わるフリーのカメラマンや音声スタッフなどに取引条件を明示せず業務委託したなどとして、公正取引委員会は26日、コンテンツ制作会社「九州東通」(福岡市)のフリーランス取引適正化法違反を認定し、再発防止などを勧告した。公取委によると、2024年11月に施行されたフリーランス法に基づき、テレビ関連企業に勧告を出すのは初めて。

 公取委によると、九州東通は24年11月~25年3月、委託先のフリーのカメラマンら44人に対し、報酬額などの取引条件を明示しなかったり、支払期日までに報酬を支払わなかったりした。

 九州東通は地元テレビ局などからスポーツ中継やテレビ番組制作の発注を受け、動画撮影や音声収録をフリーランスに委託している。撮影現場で次の業務を口頭で依頼したり、通信アプリで簡易な連絡をしたりして委託するのが慣例になっていたとみられる。

 公取委によると、九州東通は調査に対して違法性を認め、「仕事が忙しく、担当者も少なく、順守できなかった」と説明し、委託を受けたフリーのスタッフは「発注書がなく、口頭でシフトの連絡があるだけ。改善してほしい」と話しているという。

 フリーランス法は弱い立場に置かれがちな個人事業者の労働環境を守る目的で制定され、公取委はこれまでに出版社や楽器会社など3件の勧告を出し、今回で4件目。【平川昌範】

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