
【ヒューストン=大平祐嗣】米連邦航空局(FAA)は26日、米航空機大手ボーイングの民間機部門への安全規制を一部緩和すると発表した。同社は29日から自社で安全についての「耐空証明」を発行できるようになる。2019年の墜落事故以来、この権限委譲は止まっていた。ボーイングは経営再建に向けて一歩前進したかたちだ。
耐空証明は航空機の強度や性能が基準を満たしていることを示す。FAAはボーイングの小型機「737MAX」と中型機「787」の一部機種について耐空証明を同社が発行することを許可した。
安全性認証の一部を人員が限られるFAAに代わってボーイングの従業員が担う仕組み。05年から導入されていたものの19年の2度の墜落事故を受けて停止していた。
FAAは許可の背景として「ボーイングの現行の生産品質についての徹底的な審査を経た。安全に実施できると確信した」と説明している。
今回の決定はボーイングの生産上限の増加とは関係がなく収益向上の効果は乏しいものの、経営課題だった安全への取り組みが改善したことを示す。26日のボーイング株は前日終値比で一時5%高い224ドルまで上昇した。
FAAは「737」シリーズの毎月の生産上限を38機に制限している。利益追求のための量産を規制し、安全な生産を重視するためだ。ボーイングは主力機を量産できない状態が続き12四半期連続の最終赤字に陥っている。ボーイングはFAAの信頼を得て、生産上限を引き上げたい考え。
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