
JR小倉駅(北九州市小倉北区)の在来線ホームに、立ち食い形式の出店が相次ぎ、にぎわいを見せている。店舗関係者は「駅ナカの利点を生かし、短時間でも食べたくなるメニューで勝負したい」と客の取り込みに力を入れる。
在来線ホームには、既存のうどん・そば店に続き、ラーメン店とカレーショップが今夏相次いで誕生した。駅の利用者を見据えて、回転率の早さと立食ならではのリーズナブルな価格設定が特長だ。 全国的にも珍しい駅ホームでの立ち食いカレーショップを8月に開店したのは「小倉五街道 常盤橋咖喱(カリィ)」。県内で地域密着の飲食事業を展開する「新九協同」(戸畑区)が運営する。

野菜がペースト状になるまで煮込んだコクのあるまろやかなカレーソースは、世代や性別問わず、おいしく味わえるように仕上げており、「素材や成分が生きている」意味を持たせた、業界初という“生カレー”を銘打った。
店で出すシンプルなカレーメニューは税込み500円とワンコイン設定。駅利用者を考慮して注文から1分以内に提供しており、コロッケなど揚げ物をトッピングしても5分以内の完成を心がけているという。
屋号は城下町・小倉の象徴「常盤橋」が、九州各地に延びる五街道の起点・終点であることに由来した。「いってらっしゃい」「おかえりなさい」というメッセージ性を持たせたという。浜田龍介社長(44)は「駅特有の旅情的な色も出していきたい」と狙いを語る。
店では開店から2カ月を機に、2種類のカレーパンを投入した。ひき肉が多めのプレミアム(税込み430円)と、ノーマル(同380円)で、注文を受けてから揚げるため、熱々の状態で提供。おみやげ用に持ち帰りにも対応する。浜田社長は「少し前まで駅と言えばサンドイッチなどのパン商品が定番だった。それを生かせるのはカレー店の強み。新たな起爆剤になれば」と期待する。その上で「立食や限られた時間での利用を考え、すべてのメニューを財布に優しい設定にした。アイデアをひねり出して、飽きさせない仕掛けをしていきたい」と意気込む。
カレーショップの誕生で、小倉駅の在来線の全ホームに立ち食い店がそろった。管理するJR小倉シティの担当者は「これまでは『かしわうどん』が定番だったが、バラエティーに富んだ店が出そろった。食べ比べもできるので、利用者に長く愛される店に育ってもらいたい」と新たな“食のターミナル駅”に期待を寄せた。【橋本勝利】
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