
不正会計問題で揺れる人工知能(AI)開発のオルツは29日、東京都内で臨時株主総会を改めて開いた。不正会計に関わったとされている創業者の米倉千貴氏や日置友輔社長兼最高財務責任者(CFO)、取締役の藤田豪氏の辞任を決定して新たな取締役を選任した。3日に必要な定足数を満たさずに流会となっていたが、今回は定足数を満たして成立した。
オルツの延会となった29日の臨時株主総会にはおよそ10人程度の株主が出席し、約45分で終了した。日置氏らが取締役を辞任する手続きを取った。新たな取締役として浅沼達平経営企画部部長、保坂文哉執行役員、⻄村祥一最高技術責任者(CTO)の3人が選任された。
株主から「新たに選任された取締役は不正に関与していないのか」との質問があった。株主総会の議長を務めた日置氏は「第三者委員会からは関与を指摘されておらず、会社としても認識していない」と答えた。
また、スポンサー選定や事業の状況などについて尋ねる質問もあった。日置氏は「今回の事象が4月にあって、世の中のオルツへの視点がかなり変わった」と話し、「結果として不正があった事業をやっていた会社としてマスコミに取り上げられ、それ以外の技術基盤や事業も数多く強いものがあったが、なぜか今回の部分でオルツ全部がダメだとマスコミも含めてなってしまった」と語った。そのうえで「苦しい状況にみなが追い込まれた」と持論を述べた。
オルツの負債額は約24億円(6月30日時点)だ。同社は7月30日付で東京地裁へ民事再生法の適用を申請し、8月6日には民事再生手続き開始の決定を受けている。再生計画案の提出期限は10月28日を予定する。今後新たに選任された取締役の下で、再生計画の策定を進めていくとみられる。
オルツは2025年4月、AI議事録作成サービス「AI GIJIROKU」で利用実態の伴わない取引を売り上げに計上していた疑いが浮上し、弁護士などからなる第三者委員会を設置。同委員会の調査により7月には、循環取引によって21〜24年の売上高の最大9割の過大計上が明らかになった。過大計上による影響額は合計で約119億円に上った。
オルツは24年10月に東京証券取引所グロース市場に上場したが、25年8月末に上場廃止となっていた。9月に入り、デジタルトランスフォーメーション(DX)支援やシステム開発を手がける子会社2社や人力での文字起こし事業を売却することを明らかにした。
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