アリナミン製薬が開いた研究発表会(29日、東京都千代田区)

アリナミン製薬は29日、筑波大学発スタートアップで睡眠研究のS'UIMIN(スイミン、東京・渋谷)と共同で実施している睡眠研究について発表会を開いた。負荷の高い有酸素運動によって睡眠の質が下がり、「疲れすぎて眠れない」現象が起こることがわかった。今後、アリナミン製薬のビタミン剤に含まれる成分が睡眠の質を改善する効果があるかを調べる。

研究は20代男性を対象とし、被験者は18時ごろから1時間、異なる様式の運動を実施した。その後の睡眠を調べた結果、高負荷の筋力トレーニングを実施した場合は睡眠の質が良好となった一方、負荷の高い有酸素運動をした場合は睡眠時間が減るなど質の低下を招くことがわかった。

研究にはS'UIMINが提供している脳波測定のデバイスを用いた。S'UIMINは睡眠研究の第一人者である筑波大学の柳沢正史教授が会長を務めるスタートアップだ。柳沢教授は睡眠と覚醒の切り替えをつかさどるホルモン「オレキシン」を発見したことでも知られ、不眠症の治療薬開発にもつながった。

柳沢氏は「経験則として筋トレ後によく眠れると感じる人は多い。一方で長距離ランナーといったアスリートなどが眠りにくいという問題もあり、科学的に検討ができるようになった」と説明した。

アリナミン製薬はS'UIMINと2024年9月から3カ年の共同研究をスタートした。10月からはアリナミン製薬のビタミン剤に含まれる抗疲労成分「フルチアミン」について睡眠の質改善への効果を調べる。臨床試験を実施して26年度中に結果を得る予定としている。

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BUSINESS DAILY by NIKKEI

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