
サントリーは29日、2026年10月の酒税法改正を機に、第3のビール「金麦」をビール化すると発表した。価格帯はこれまで通り発泡酒の水準を維持したまま、麦芽比率をビールと同水準に引き上げることで価値を高め、ビール類市場全体の活性化を狙う。
金麦は、発泡酒に麦原料スピリッツを加えた第3のビールとして07年に発売。主力商品と位置付け、麦のうまみと澄んだ後味に着目して改良を進めてきた。
麦芽比率をビールの要件である「50%」以上にして、飲みごたえを強化する。「金麦」「金麦 ザ・ラガー」「金麦 糖質75%オフ」の品目表記は「生ビール」になる。

ビール系飲料は、原料の麦芽比率などによってビール、発泡酒、第3のビールに分かれ、ビールの税額が最も高い。26年10月には3種の税額が統一されたうえで、酒税法上の品目はビールと発泡酒の2種になる。
これまで20年と23年に段階的に税率が見直され、ビールは減税された。一方、第3のビールは増税されて発泡酒と同一になり、市場は大きく縮小してきた。
こうしたなか、物価高で低価格帯のビール系飲料の需要は根強い。1人当たりの350ミリリットル缶の購入本数は、発泡酒などがビールの2倍以上だ。サントリーが消費者9500人に実施した調査では、「できるだけ安価なお酒を選びたい」と答えた人は25年に38%で、20年と比べて6ポイント増えた。

26年10月の酒税法改正で350ミリリットル缶の酒税額は54・25円に一本化され、ビールは現在より約9円安くなり、発泡酒は約7円高くなる。サントリーは、ビールと発泡酒の店頭売価差が現在の約40~50円から約25~35円に縮まると予測する。
金麦は酒税法上はビールの扱いになるが、価格は発泡酒の水準を維持する。サントリーの多田寅ビール・RTD本部長は「価格と価値のバランスが悪いのではという反省がある。ビール化で価格以上に納得できる価値を付け、(低価格帯の)ニーズにしっかり応えていきたい」と話した。【佐久間一輝】
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