
富士フイルムは29日、先端半導体の組み立て工程で使われる研磨剤の新製品の販売を始めたと発表した。半導体のウエハー上に微細な回路を描く「前工程」向けで培った技術を転用した。生成AI(人工知能)の普及で成長が見込まれる先端品向けの需要を取り込む。
新発売するのは「CMPスラリー」と呼ばれる半導体の研磨剤だ。このほど大手半導体メーカーの採用が決まった。半導体チップを組み上げる「後工程」で使う。富士フイルムは同材料の世界大手で、これまでは前工程向けに販売していた。
新たな研磨剤は「ハイブリッドボンディング」と呼ばれる組み立て手法で使う。複数の半導体チップ同士を直接つなぐ手法で、接合の精度を高めるのにウエハーの表面を平らにする必要があり、CMPスラリーが必要になる。
CMPスラリーは富士フイルムの半導体材料事業の売り上げの約25%を占める中核製品で、同事業の成長をけん引している。足元では世界シェア2位(21%)で、前工程向け製品の拡販や後工程領域の開拓で2030年度までにシェア1位を目指す。
半導体材料事業を統括する岩崎哲也常務執行役員は、同日都内で開いた説明会で「後工程向けに特化した研磨剤が必要なくらい(精度の)要求度が高くなっている」と話した。
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