野村ホールディングスの奥田健太郎グループ最高経営責任者(CEO)は日本経済新聞のインタビューで人工知能(AI)の活用方法について「100年間にわたる運用データを取り込み、それに基づいて市場環境や顧客にあわせてアドバイスをする」と話した。
奥田CEOは10月9日に開く「金融ニッポン」トップ・シンポジウムに登壇し、AI時代の金融経営について議論する。
野村は今年、創立100年を迎える。奥田CEOは資産運用に関するデータについて「日本の金融機関では一番あると思う」と自負しており、過去の運用データをAIで分析することで顧客サービスを高度化できると考える。AIを使うことで機関投資家のみに提供していたサービスを「個人の資産運用にもうまく活用できる」とみる。
投資銀行ではAIを活用することで、顧客のニーズにあわせて「私たちの中にあるデータを使いながら、M&A(合併・買収)の対象企業はどこがいいか出せるようにしている」と話す。機密にかかわる情報を扱えるように「AIの内製化にこだわっていく」。
インドへのIT人材の集約も進めており、世界では日本に次ぐ人数の拠点となっている。「グローバルのデジタルやAIのテクノロジーの進展をサポートしている」という。
世界の社員に対して生成AIに関する研修プログラムの提供を進める。「どうやってAIと一緒に(仕事を)やっていくかというコンセプトで勉強する」と語る。
AIを使うことによる働き方の変化について「プロジェクトの中でこれまでは情報収集にある程度時間をかけてきたが、ここはAIで短縮できるようになる。M&Aなどのビジネス判断を人がもっとできるようになり、仕事の付加価値を出しやすくなる」と話す。

奥田CEOは足元の日本株の上昇について「米中の緊張が高くなってきてからは、特に米国の投資家は中国に投資ができなくなっており、アジアへの投資では景気も政治も安定している日本が選ばれてきている」と語った。自己資本利益率(ROE)の重視など経営者の姿勢の変化も海外投資家が好感していると分析する。
一方で「この10年ぐらい日本は政治的に安定しているのがメリットといわれてきたが、このところ政権が短いので、政治的な動きも注視するポイントだ」とも語った。
「金融ニッポン」シンポジウム◇日時、会場
10月9日(木)午後1時〜2時30分、日経ホール(東京・大手町)。入場無料
◇申し込み
会場での参加はウェブサイト(https://www.nikkei.com/live/event/EVT250807003)からお手続きください。10月1日(水)に締め切ります。
◇講師 木原正裕・みずほフィナンシャルグループ社長、奥田健太郎・野村ホールディングス・グループ最高経営責任者、亀澤宏規・三菱UFJフィナンシャル・グループ社長、荻野明彦・大和証券グループ本社社長、中島達・三井住友フィナンシャルグループ社長
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