
ライドシェア事業を手掛けるスタートアップのニューモ(東京・港)と堺市は30日、自動運転タクシーの実現に向けて連携協定を締結したと発表した。同市内で走行実験したうえで、一定の条件下で運転手が不要な「レベル4」の早期実現をめざす。堺市でも人手不足から公共交通の確保が難しくなっており、住民の利便性維持につなげる。
連携協定にはニューモ傘下のタクシー会社である堺相互タクシー(堺市)と未来都(大阪府守口市)も加わった。4者は走行実験にあたって、国や府、警察など関係機関との調整、実験エリアの選定、住民への説明に共同で取り組む。自動運転タクシーの官民連携は大阪府で初めてで、全国でも珍しい。
ニューモの青柳直樹社長は同日の記者会見で、「第1段階として2025年度中に地図データの収集と(他の車や通行人への影響がない)閉鎖空間における走行実験を始める」と述べた。公道を使った実験の時期や手法については明言を避け、「安全対策や国の法整備を踏まえながら段階的に実施する」と述べるにとどめた。
堺市を連携協定の相手に選んだ理由としては、同市内に本社・営業所のあるタクシー会社を傘下に持っていること、同市内のシャープの工場跡地にデータセンターができるため膨大なデータ処理に便利なことなどをあげた。
堺市は、市内の2大ターミナルである南海電気鉄道・堺東駅と同・堺駅の間を自動運転バスで結ぶ計画を進めている。同市の永藤英機市長は自動運転タクシーの走行エリアについて「人があまり多くなくて、バスの本数がさらに減りそうな地域の公共交通を面として維持できたらいい」と語った。
レベル4の時期については「民間の事業者(ニューモ)次第」としたうえで、「2030年より手前のできるだけ早い時期に実現してほしい」と述べた。
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