伊勢丹新宿本店(東京都新宿区)

三越伊勢丹ホールディングス(HD)など百貨店大手4社が1日発表した9月の既存店売上高(速報値)は、2月以来7カ月ぶりに全社が前年同月比で増収だった。免税売上高は前年に円高が進行した反動などで2社が増収、国内売上高は全社が増収だった。

訪日外国人客(インバウンド)の高額消費の一巡により、免税売上高は今春以降全社で前年割れが続いていた。最大で前年同月比3〜4割減の月もあった。8月以降は前年に円高が進みインバウンド消費が落ち着いた反動が出始め、各社ともに持ち直した。

免税売上高は大丸松坂屋百貨店が11.8%増だった。「ポケモンセンター」など知的財産(IP)コンテンツを扱う店舗や化粧品などがけん引した。高島屋も化粧品やスポーツ用品が好調で2.7%増だった。2社とも客単価は今春以降2ケタ減が目立っていたが、9月は2〜3%減にとどまった。既存店売上高は大丸松坂屋が7.9%増、高島屋は4.8%増だった。

三越伊勢丹の免税売上高は7.5%減だった。客単価は前年超えの一方、客数が減った。同社は「コト消費やIP商品などに関心が移っている」と分析する。既存店売上高は7.2%増だった。エイチ・ツー・オーリテイリング(H2O)グループの阪急阪神百貨店は免税売上高の実数は非開示だが1%以下の減少、既存店売上高が3.2%増だった。

国内売上高は全社が増収だった。三越伊勢丹は得意客向けの催事が押し上げ、9.9%増と伸長した。大丸松坂屋は松坂屋名古屋店(名古屋市)の栄地区での開業100周年を記念した催事などが好調で2.4%増だった。高島屋は北海道物産展などの効果で4.6%増、阪急阪神は阪神タイガースのリーグ優勝記念セールなどが寄与して前年超えだった。

【関連記事】

  • ・8月の百貨店売上高、7カ月ぶりプラス 免税売上高も改善
  • ・百貨店4社、8月は3社増収 24年の地震警報の反動で免税回復
BUSINESS DAILY by NIKKEI

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。