武田薬品工業は1日、人間の体内にある免疫細胞を利用した新しい治療技術の研究開発を中止すると発表した。2025年4〜9月期に580億円の減損損失を計上する見込み。5月に発表した26年3月期の連結業績予想には500億円の減損を織り込み済みで、「大部分がこれに吸収される見込み」(武田薬品)とする。
開発を中止するのは「細胞療法」。病気の原因になっている細胞や病原体に対し、遺伝子を改変するなどして活性化した免疫細胞を使って治療を目指す。「ガンマ・デルタT細胞療法プラットフォーム」と呼ぶ領域に関連する無形資産を中心に減損損失が出る見込み。進行中の臨床試験(治験)はない。
これまで蓄積してきた細胞療法に関する技術については「同分野での研究や臨床応用可能なプログラムの進展を担うことができる外部パートナーを模索している」(武田薬品)とする。
開発中止について武田薬品は「戦略的なポートフォリオの優先順位を検討した結果だ」とする。24年5月に全社的な構造改革を実施すると発表していた。製品になる可能性の高い治療薬候補や治療技術に経営資源を優先的に配分するため、投資する領域を絞り込む方針を示しており、核酸技術を使った難病治療薬の開発も中止している。
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