
ヤンマーホールディングス(HD)とソニーグループは6日、共同出資する新会社「ヤンマーブルーテック」を設立したと発表した。ボートや船舶用エンジンを手掛けるヤンマーHDと、センサーに強みを持つソニーGの技術を掛け合わせ、海運業などが抱える課題の解決を支援する。第1弾としてコンテナ船などの船底を洗浄する水中ドローンを開発する。
9月8日付で設立し、10月1日に事業を始めた。資本金は3億8830万円で、ヤンマーHDが90%、ソニーGが10%を出資する。社員は両社の開発担当者ら十数人程度で、ヤンマーHDと同じ大阪市に本社を置く。
コンテナ船の船底に貝や汚れが付着すると燃費が悪くなるほか、水生生物が地域を超えて移動することで生態系への影響も懸念される。従来、ダイバーが海に潜って洗浄することが多いが、作業の危険性や人手不足も課題となっている。国際海事機関(IMO)は海洋環境を保全するため、付着した汚れを回収することを推進している。

ヤンマーは2021年から船底を洗浄する水中ドローンを開発してきた。汚れの回収装置や発電機を積んだ作業船で船舶へ近づき、そこから水中ドローンを遠隔操縦して洗浄する。船体に付着した10ミリメートル以下の汚れなどを95%以上除去できる性能を持つ。
ドローンに搭載したカメラの映像をもとに作業するため、視界の悪いにごった水中では作業しづらいことが課題だった。
ソニーGがスマートフォンなどで活用するイメージセンサーを搭載すれば、にごった水中でも視界がクリアになる。水中ドローンの位置も把握できるため、作業の進捗も確認できる。人力で1日程度かかる作業を8時間程度に短縮することを目指す。
市場投入の時期は未定で、今後は実証実験に取り組む。ヤンマーブルーテックの不破一郎社長は「将来的には船舶だけでなく、橋や港湾設備などインフラ向けの技術開発も進めたい」と話す。
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