
「レイバン」などを手がける眼鏡世界大手の仏エシロール・ルックスオティカがニコン株を買い増し、保有比率が10.59%になったことが6日、分かった。ニコンは外為法上「コア業種」に指定され、外国企業が株式の10%超を持つには審査を伴う事前の届け出が必要だ。10%超えは外為法の審査が通過した可能性があり、今後2割まで買い増す可能性がある。
エシロールが同日付で関東財務局に提出した変更報告書で明らかになった。保有比率は9月18日提出時点の9.47%から上がった。
ニコンはデジタルカメラのほか、安全保障上の重要物資である半導体の製造に不可欠な露光装置も生産している。外為法上、安全保障に重要なコア業種に指定されている。
エシロールは4月の段階でニコンに対して保有比率を2割に引き上げる意向を伝え、両社首脳が面会するなど協議した。8月末には外為法上の審査を通過する見通しになった旨をニコンに通知したもようだ。
ニコンとエシロールは長年協業している。2000年には眼鏡レンズの製造販売などを手がける共同出資会社ニコン・エシロール(東京・墨田)を設立した。遠近両用眼鏡レンズの国内販売を手がける。ニコンが手がける眼底カメラの主要顧客でもある。
エシロールと経済産業省は、それぞれ外為法上の審査を通過したかについて明らかにしていない。審査では、取得した株式の第三者への売却などをめぐり制限がついた可能性もある。エシロールがニコン株を中国企業などに売却すれば、技術流出の懸念もあるためだ。
外為法を巡っては、温度センサーを手がける芝浦電子に台湾電子部品大手の国巨(ヤゲオ)がTOB(株式公開買い付け)をしかけ、審査が異例の約7カ月に及んだ。何度も条件を見直したすえに承認された。
外為法は安全保障上重要な技術の流出を防ぐのに重要だが、厳しすぎれば外国企業から日本企業への投資意欲をそぐ懸念もある。ニコンに対し一定割合の保有を認めたことは、今後の判断の前例にもなりそうだ。
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