大分県庁=大分市大手町3で2019年2月24日、池内敬芳撮影

 大分県は、育児や介護などの事情で県庁を退職した元職員を対象とする「カムバック採用」を始める。民間企業などとの人材獲得競争が激化する中、柔軟なキャリア構築を望む職員らのニーズに応え、即戦力の確保につなげたいとしている。【李英浩】

 対象となるのは、県で5年以上働いた経験のある61歳以下の人材で、退職から10年以内の元職員。従来の制度では、元職員が県庁の採用試験を受ける場合、民間などからの転職者と同様に筆記試験と面接を受ける必要があった。一方、「カムバック採用」は、受験者が一定以上の資質や能力を備えていると見込み、筆記試験は課さず、面接のみを実施して就職準備の負担を軽減した。

 県が退職者の受け入れに注力する背景には、若手を中心に人材の安定的な確保が難航する現状がある。県人事課によると、45歳未満で自己都合退職を選んだ県職員の数は、約10年前の2014年度は14人だったが、23年度は39人と3倍近くに増えた。

 県人事課は、若手を中心に職員の採用数が増える中、出産や育児などで退職を選ぶケースが増加した可能性があると分析。離職者が県庁に戻ってこられる制度を整え、長期的な人材流出の食い止めにつなげたいとしている。

 今年度の応募は11月末まで受け付け、採用数は全職種合わせて若干名を予定している。県人事課の担当者は「やむを得ない理由で辞めた人も多いと思う。県庁も人材の確保が課題になっているので、双方にメリットのある取り組みになればと思う」と話している。

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