アサヒグループホールディングス(GHD)へのランサムウエア(身代金要求型ウイルス)によるサイバー攻撃を巡り、同社は8日、インターネット上で流出した疑いのある情報を確認したと発表した。日本時間の7日夜に「Qilin(キリン)」を名乗るグループがダークウェブ(闇サイト群)に犯行声明を公表していた。
Qilinは攻撃に使うウイルスや、盗んだ情報を暴露する「リークサイト」を実行者に提供し、身代金の一部を報酬として得る集団とされる。犯行声明ではアサヒGHDに関連する少なくとも9300件のファイル、27ギガバイト(ギガは10億、GB)のデータを盗んだとしている。
流出の疑いがある文書の一部にはアサヒGHDの実在する社員の個人情報や顧客リスト、グループ会社の財務情報などがあるとみられる。アサヒGHDはこれまでの社内調査で情報漏洩の可能性を示す痕跡を確認している。流出した疑いのある情報の内容や範囲については調査を続けており、情報漏洩を確認した際、速やかに公表するとした。
アサヒGHDのシステム障害は9月29日午前7時ごろに発覚した。国内の酒類や飲料、食品の受注や出荷業務ができなくなり、同社は国内の主力工場の稼働を一時停止した。9日から飲料を手掛ける岡山工場(岡山県総社市)で一部商品の製造を再開するのに伴い、国内に約30ある全工場が稼働する状態になるが、全面復旧のメドは立っていない。
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