
東京電力ホールディングス(HD)が、柏崎刈羽原発が立地する新潟県を継続的に支援するため、寄付の受け皿となる基金の創設を検討していることが8日、関係者への取材で明らかになった。寄付は計1000億円規模で調整しており、基金は県側に創設されるという。小早川智明社長が16日に開催予定の県議会委員会に参考人として出席し、提案するとみられる。
東電HDは現在、柏崎刈羽原発の6号機を優先して再稼働を目指している。再稼働には立地自治体の同意が必要となる。新潟県はこれまでに公聴会などを実施。再稼働に関する県民意向調査の最終報告は、今月末にも公表される見通し。それらの結果を踏まえ、花角英世知事は県民に、原発の再稼働に対する「信を問う」としているが、手法や時期は決まっていない。
県や立地自治体は再稼働の判断のため、安全対策や地元支援を求めている。東電は8月29日の原子力関係閣僚会議で、それまでに表明済みの「原子力災害や自然災害時の支援」に加え、新たに「地域経済の活性化等に向けた資金的な貢献」や「GX(グリーントランスフォーメーション)・DX(デジタルトランスフォーメーション)への事業投資等」を打ち出した。雇用創出などにつながる内容を想定し、県側は地域振興に充てたい考えだ。
16日の県議会の委員会は四つの常任委員会の委員全員で審議する場で、小早川社長が検討してきた支援内容を説明するとみられる。経済産業省資源エネルギー庁の村瀬佳史長官も参考人として出席する見通し。
基金の具体的な手法や用途は検討中で、今後県側と詰める。【中島昭浩】
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