決算説明会に登壇したファーストリテイリングの柳井会長兼社長(9日、東京都港区)

ファーストリテイリングの柳井正会長兼社長は9日に開いた決算説明会で、米トランプ政権による関税について「貿易の阻害が戦争につながった例もあり、下手をしたら戦争につながるかもしれない」と述べた。「世界平和の大きな前提条件の1つは国の壁を越えた自由なビジネスにある」と訴えた。

柳井氏は「世界経済はいま危機的な状況にあり、積極的な投資を控える状況が強まっている」とした上で、「だからこそ新しいモノを生み出すチャンスがある。積極的に動く時期だと思う」と話した。2026年8月期は香港のミラプレイス、ドイツのフランクフルト、米国のシカゴ、サンフランシスコなど大都市を中心に旗艦店を出店する。

AI(人工知能)の活用が進む現代社会を「全世界で評価が瞬時に伝わり、AIやSNSで増幅される時代」とみる。「顧客から評価される点を強化して価値を創造していくことにもっと貪欲にならないといけない」と述べた。

ファストリはアジア圏を中心に世界で全366の縫製工場(9月時点)から製品を調達している。中国が198工場と最多で、ベトナム(60工場)、バングラデシュ(27工場)、カンボジア(19工場)などが続く。トランプ米政権により8月からベトナム産やバングラデシュ産には20%の相互関税が適用された。

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BUSINESS DAILY by NIKKEI

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