
【ヒューストン=大平祐嗣】米運輸省高速道路交通安全局(NHTSA)は9日、米電気自動車(EV)大手テスラの運転支援システムを搭載した車両約288万台を対象に、安全性を確かめる予備調査を始めたと発表した。リコール(回収・無償修理)につながる可能性もあり、9日のテスラ株は前日終値と比べて一時3%安となった。
NHTSAは車の安全性を監督する官庁。対象はテスラの高度運転支援システム「フルセルフドライビング(FSD)」を搭載した車で、消費者などから信号無視や逆走といった58件の交通違反事例の報告があったことを受け、調査に踏み切る。
例えば信号無視を無視して交差点に進入した結果、他の車と衝突した事例が6件あり、負傷者が出た。反対車線への進入禁止の標識を認識せずに逆走する事例もあった。
テスラはFSDを自動運転の5段階の技術水準のうち「レベル2」としている。レベル2は運転手の操作を支援するシステムで、運転手が車両運転の責任を負う。NHTSAは運転手がFSDの操作に介入する機会があったのかどうかなどを調査の焦点としている。
ロイター通信は、予備調査はリコールを求める前の最初のステップだと報じた。9日のテスラ株は前日終値と比べて一時3%安の426ドルまで下落した。
NHTSAはテスラへの複数の調査を進めている。2024年11月には道路の視界が悪くなった状況下で衝突事故が相次いだことで調査を始めた。今年1月には遠隔操作機能に関連して調査を始めていた。
【関連記事】
- ・米当局、テスラを調査 運転支援システム巡る事故を数カ月報告せず
- ・テスラ、「サイバートラック」全量リコール 販売に打撃
- ・米当局、テスラの運転支援システムの安全調査 240万台
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。