ロームは10日、国内で半導体生産を手掛ける子会社を再編すると発表した。ローム本体と子会社4社をあわせた全10工場を、ウエハーに回路を形成する前工程と、組み立てなどの後工程に分ける。2027年4月をめどにそれぞれの業務を2つの新会社に集約する。再編で経営効率を高める。

ローム本体の滋賀工場(大津市)のほか、子会社も半導体生産を担っている。省エネ性の高い炭化ケイ素(SiC)製のパワー半導体を手掛けるローム・アポロ(福岡県広川町)やラピスセミコンダクタ(横浜市)のほか、発光ダイオード(LED)や半導体レーザーを手掛けるローム・ワコー(岡山県笠岡市)やローム浜松(浜松市)が再編の対象だ。

ローム・アポロなどは前工程と後工程の両方を手掛ける。26年4月に前工程と後工程に特化した生産会社をそれぞれ立ち上げ、各工場をいずれかの傘下に入れる。ローム本体の滋賀工場とラピスセミコンダクタの工場をあわせた計4工場は27年4月に合流する予定だ。

新会社の社名は未定。前工程はローム・アポロ、後工程はローム・ワコーを存続会社とする。

ロームは電気自動車(EV)向けなどのパワー半導体が落ち込み、25年3月期の最終損益が500億円の赤字(前の期は539億円の黒字)と、12年ぶりの最終赤字に陥った。

人員削減などの構造改革を進めており、設備投資の縮小や生産の外部委託などで3年後に年200億〜300億円の固定費削減をめざしている。

ロームは半導体事業で東芝と提携するほか、デンソーの出資を受けている。今回の再編は経営効率を高めるとともに、他社との提携をスムーズに進めるねらいもあるとみられる。

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