リヤド万博の会場イメージ=LAVA / BUCHAREST提供
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 大阪・関西万博の次は5年後にサウジアラビアの首都で開かれるリヤド万博だ。197の国、29の国際機関が参加して2030年10月1日~31年3月31日に開かれる。会場全体の敷地面積は大阪・関西の4倍の600万平方メートルで、4000万人以上の来場者を見込む。大阪・関西でも存在感のあるパビリオンで盛り上げた同国関係者は「リヤド万博にもぜひ訪れてほしい」とアピールする。

 万博は、5年ごとに開く大規模な「登録博」と、登録博の間に開催できる「認定博」の2種類があり、大阪・関西やリヤドは登録博に位置づけられる。

 サウジアラビアは世界2位の産油国として知られるが、16年に発表した「ビジョン2030」を基に、石油に依存しない産業構造へと改革を進めている。

リヤド万博会場のイメージ=LAVA / BUCHAREST提供
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 リヤド万博はその改革の集大成をお披露目する場となりそうだ。テーマは「明日への先見性」。計画によると、リヤド郊外にある会場は花びらのように配置された五つのエリアに分かれ、「変革的テクノロジー」などサブテーマに沿ったパビリオンや展示が準備されているという。閉幕後も万博の建物やインフラを活用し、住宅や商業施設などで構成する「グローバルビレッジ」として再開発する予定だ。

 2030リヤド万博カンパニーのタラル・アルマッリ最高経営責任者(CEO)は毎日新聞の取材に応じ「レガシー(遺産)を最初から設計に組み込んでいる。リヤド万博はこれまでにない特別な万博になるだろう」と説明した。

2030リヤド万博カンパニーのタラル・アルマッリ最高経営責任者(CEO)=大阪市此花区で2025年10月10日午後3時57分、妹尾直道撮影
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 9月には日本政府との間で混雑対策など万博開催のノウハウを共有していくことで合意した。アルマッリ氏は「大阪・関西万博はは序盤に発生した課題を早期に解決する柔軟性があった。日本の経験を学べばリヤド万博も素晴らしいものになる」と話す。

 また、これまで政府主導で開発してきたサウジにとって、リヤド万博は民間企業の存在感を高めるチャンスでもある。大阪・関西万博サウジパビリオンの広報・メディア部門ディレクターのモハメド・アルダハラウイ氏は「大阪・関西万博は多くの民間企業が連携してイベントを作り上げている。民間のノウハウで運営する仕組みを学びたい」と話す。

 実は大阪・関西万博のパビリオンの中で、サウジは日本館に次ぐ2番目の大きさだった。アルダハラウイ氏は「次の万博開催地としての本気度を示したかった」と強調する。

大阪・関西万博のサウジアラビアパビリオン=大阪市此花区で2025年10月8日午後3時48分、妹尾直道撮影
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 パビリオンは、現地の街中にある路地を想起させる迷路のような構造が特徴で、中庭で行われるプロジェクションマッピングや伝統音楽などのパフォーマンスが人気を博した。会期中は約300万人が来場し、アルダハラウイ氏は「文化や歴史、国家の改革について知ってもらうことができた」と手応えを語る。

 19年には日本などに観光ビザを解禁した。日本では石油や砂漠のイメージが強いサウジだが、万博を機に多様な気候や文化を発信し、日本からの観光客増加も狙う。ガーズィー・ビンザグル駐日大使は「大阪・関西万博では体験を通じて人同士のつながりを強化した。30年にはリヤド万博だけではなく、変化した国家や街を見せられるように準備している」と話した。【妹尾直道】

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