大阪・関西万博の最終日に行われた水上ショー「アオと夜の虹のパレード」=大阪市此花区で2025年10月13日午後7時20分、長澤凜太郎撮影

 大阪市此花区の人工島「夢洲(ゆめしま)」で開催された大阪・関西万博は13日、184日間の会期を終え、閉幕した。参加した165の国・地域・国際機関の意見を日本政府などがとりまとめた「大阪・関西万博宣言」が発表され、会場のシンボルの大屋根「リング」になぞらえ「多様でありながら、ひとつ」のメッセージを世界に発信したとアピールした。

 閉会式は会場内の「EXPOホール シャインハット」で開催され、約1200人が出席した。名誉総裁の秋篠宮さまは「人類が直面している共通の課題への解決策を共に考える機会を得たことは、非常に意義深い」とおことばを述べられた。石破茂首相は「分断よりも連帯、対立よりも寛容を大切にし、素晴らしい博覧会を作り上げることができた」とあいさつした。

 「大阪・関西万博宣言」では、万博が相互理解と対話を促す重要な公共財であり、関係者が協力してきた姿は将来の万博や国際交流の道しるべとなりうるなどとうたった。博覧会国際事務局(BIE)旗は、2030年の万博開催地となるサウジアラビア・リヤドに引き継がれた。

 閉会式の後、日本国際博覧会協会(万博協会)の十倉雅和会長が記者会見し、万博が成功したかどうか問われ「後世の評価も受けなければならない。我々としては達成感を感じている」と総括した。

 万博協会によると、12日時点での一般入場者数は、速報値で約2529万人だった。最終日の13日も約20万人が入場したとみられる。05年の愛知万博(愛・地球博)の2205万人は上回ったが、万博協会が当初、想定していた2820万人には届かなかった。

 入場券は3日時点で約2206万枚が売れた。入場券の収入で8割をまかなう予定だった約1160億円の運営費の収支は、230億~280億円の黒字の見通しとなった。

 四方を海で囲まれた人工島で開催する世界初の「海上万博」となり、交通アクセスや安全面の制約から、来場予約システムを導入した。「並ばない万博」を掲げたが、最終盤では入場券を持っていても予約できないなどの問題が生じた。

 運営費とは別に、会場建設費の2350億円は、国、大阪府・市、経済界が3分の1ずつ負担。リングの北東側約200メートルを保存することで、関係者間で合意に至ったが、会場跡地の利用方法は決まっていない。

 「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに、デジタルや人工知能(AI)、ロボットなど先端技術が展示された。討論会などを通じて、持続可能な開発目標(SDGs)やダイバーシティー(多様性)などについて意見が交わされた。閉幕後は理想の社会を実現できるかが問われる。【岡崎英遠、鈴木拓也】

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