スペースXが実施した大型ロケットシステム「スターシップ」の11回目の打ち上げの様子(13日、米南部テキサス州スターベース)=ロイター

【ヒューストン=大平祐嗣】実業家イーロン・マスク氏が率いる米スペースXが13日、米南部テキサス州で大型ロケットシステム「スターシップ」の11回目の打ち上げ試験を行った。上部の宇宙船部分は地球を半周してインド洋に着水し、2回連続の試験成功となった。月や火星探査を想定する宇宙船の実用化に一歩前進した。

スターシップは高さ120メートルの史上最大のロケットシステム。上部の宇宙船と、エンジンを33基搭載する下部の大型推進装置「スーパーヘビー」で構成する。

今回の打ち上げにおいては、通信用の人工衛星に見立てた積み荷の放出や飛行中の宇宙船におけるエンジンの再点火を行った。打ち上げから1時間後に予定通り着水した。同社はシステムの再利用を目指しており、今回は8回目の打ち上げ後に回収したスーパーヘビーを使った。

同社はスターシップを有人による月や火星探査向けの宇宙船として開発している。2027年半ばには米航空宇宙局(NASA)による有人月探査計画「アルテミス」で月への着陸船として使われる予定のほか、独自に火星探査を見据えている。

スペースXではロケットシステムの微修正を進めており、今回までは「バージョン2(V2)」と呼ぶシステムを試験してきた。次回からは搭載能力などを強化した「バージョン3(V3)」を打ち上げる予定だ。

スターシップは23年4月に初めて打ち上げられた。25年8月に行われた10回目は成功したものの、それまではV2を使った試験で3回連続で失敗していた。

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