Jパワーは、農業参入支援などを手掛けるプラントフォーム（新潟県長岡市）と共同で、魚の陸上養殖と水耕栽培を同時に行う循環型の食料生産システムの実証を10日に開始したと発表した。チョウザメの排せつ物を利用してバニラを栽培する。

養殖魚の排せつ物をバクテリアが肥料に分解することで化学肥料無しで植物を育てる、「アクアポニックス」という循環型システムを実証する。植物が栄養を吸収することで水が浄化されるため、従来型の農業に比べて水の使用量を90%以上削減できるという。チョウザメを用いたアクアポニックスは世界初とする。実証は新潟県長岡市にあるプラントフォームの実験施設で行っている。

バニラは近年、生産地の気候変動による収量減少や新興国での需要拡大を背景に、国際的な取引価格が急騰している。また、商品として販売するまでに開花に3年、収穫後に香りを引き出す乾燥・発酵などの加工工程（キュアリング）に1年の期間を要するなど、商品出荷までに多くの時間を必要とし、生産効率の面で課題がある。

今回の共同実証では、プラントフォームが持つ養殖排水を活用した花卉（かき）の開花促進に関する特許技術を活用する。これによりバニラの開花期間の短縮と開花数の向上を目指し、生産効率の課題解消を検証する。Jパワーグループの持つ肥料生産のノウハウやアセットも活用する。

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