
政府備蓄米の流通の遅れを受け、政府がコメの民間備蓄の制度化を検討していることが16日、判明した。民間企業にもコメの備蓄、流通を分担してもらい、素早く消費者に届けられるようにする狙いがある。また現在5年間となっているコメの備蓄期間や、100万トン程度としている備蓄水準についても見直しを視野に検討を進める。
政府は今年3月以降、大規模集荷業者を対象にした一般競争入札と、小売業者などを対象にした随意契約で備蓄米をそれぞれ放出したが、消費者に届くまで時間がかかった。
コメの民間備蓄は製粉会社などが行っている麦を備蓄する仕組みなどを念頭に検討する。農林水産省が製粉企業などに保管経費を助成しており、このような事例も参考にするとみられる。
農業協同組合(JA)などの集荷業者やコメ卸が民間備蓄として一定量を流通段階で保有していれば、小売業者や中食・外食業者にいち早く届けられる可能性がある。
今回備蓄米の流通が遅れた理由の一つに、保管期間が長い備蓄米ほど品質劣化や異物混入が発生するリスクが大きくなる課題があった。特に随意契約の備蓄米は2021年産と22年産で古く、出荷前に品質や異物混入の有無を確認する「メッシュチェック」に想像以上に時間を要した。
現在の備蓄米は5年間保管後、飼料用などとして販売している。今後も主食用として放出することもあるため、備蓄期間についてもより適切なものとなるよう見直しを検討する。
同時に官民合わせた備蓄量の水準についても、不作や想定外の需要増、猛暑による精米歩留まりの悪化なども考慮して算出し直すことを検討する考え。現行水準の100万トン程度は01年当時の年間需要量(約900万トン)を前提に計算されているため、直近の年間需要量(700万トン程度)も考慮して再計算することも考える。【中津川甫】
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。