東北電力はテロ対策施設の完成が遅れると発表した(17日、仙台市)

東北電力は17日、女川原子力発電所(宮城県女川町、石巻市)2号機のテロ対策施設の完成時期を設置期限の2026年12月から28年8月に延期すると発表した。建設作業員の確保の遅れが影響した。期限に間に合わず、女川2号機は26年12月から1年8カ月ほど停止する。

テロ対策施設「特定重大事故等対処施設」は飛行機衝突などを想定し、遠隔操作で原子炉の冷却などをする。工事計画などの認可(21年12月)から5年以内の設置が求められていた。

東北電は電源喪失に備える非常用の直流電源設備の工事も遅れると発表した。女川原発では2系統の電源設備を設置済みだが、原発の新規制基準に基づいて原子炉建屋内に新たに3系統目を設置する。工事完了は26年12月から28年3月に延期した。

東北電はテロ対策施設と非常用電源の完成が遅れることから、原子力規制委員会に工事計画の変更届を17日に提出した。青木宏昭原子力部長は「昨今の建設業界における労働環境の変化の影響により、当社の努力だけでは対応が難しく工事完了の時期の見直しが必要と判断した」と話した。

工事の遅れで、女川2号機は26年12月に停止を余儀なくされる。停止期間中は火力発電で電力を賄うことから、1カ月あたり約60億円の燃料費増加によるマイナス影響を見込む。電気料金に対する影響は、「経営努力で影響がないようにしたい」(同社の青木原子力部長)とした。

女川2号機は24年12月に東京電力福島第1原発と同型の沸騰水型軽水炉(BWR)として、同原発の事故後初めて営業運転を再開した。

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