
【ヒューストン=大平祐嗣】米連邦航空局(FAA)は17日、米航空機大手ボーイングの主力小型機737MAXの増産を認めた。2024年1月の重大事故後、品質を優先するために生産上限を課していたが一部解除する。新たな上限は月産38機から42機となる。生産ラインの監督は今後も続ける。
ボーイングは18年と19年に737MAXで計300人以上が死亡する2度の墜落事故を引き起こした。24年にも飛行中の737MAXのドアが吹き飛ぶ重大事故が生じ、経営危機に陥った。利益追求よりも品質を最優先とするためにFAAが生産上限を課してきた。
FAAは17日に「ボーイングの生産ラインを徹底的に審査し、このわずかな増産が安全に行われると確認した」と声明を出した。今後もFAAは生産ラインの監督を続ける。米国で政府閉鎖が続く今も検査員は業務を継続している。
FAAは9月には安全についての「耐空証明」の一部をボーイングが発行することも許可していた。19年の墜落事故以来止まっていた権限委譲が再開していた。
ボーイングは12四半期連続で最終赤字が続く。資金流出が止まらず非中核事業の売却や増資を進めてきた。主力機の生産上限が引き上げられたことで営業キャッシュフローは改善に向かう。
737MAXは受注残が4300機以上に上り、航空業界への納入が滞っている。ボーイングはFAAの信頼を得て増産幅をさらに拡大していく考え。
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