会社の役員や従業員があらかじめ決められた価格で自社株を購入できる権利「ストックオプション」に関する所得税について、会計検査院が調べたところ、申告漏れが生じている可能性が高いことがわかった。国税当局の確認が不十分で、2021~22年の2年間で、最大で150人の納税額が少なかった恐れがあるという。
ストックオプションは事前に定めた価格で自社株を購入でき、株価が上がった時に権利を行使し、手にした株式を売れば利益を得られる。会社が成長すれば利益が大きくなるため、役員報酬やスタートアップ企業のインセンティブ報酬などで活用されている。条件により、権利を行使した時や株式を売却した時に課税の対象となる。
検査院は21~22年のストックオプションについて、国税当局が納税者の申告などを適正に確認できているかを調べた。
検査院によると、国税当局はストックオプションの権利を付与した会社などから、従業員の権利行使の情報などを得ており、申告内容を確認するべき納税義務者のリストなどを作成していた。だが、国税庁はリストの活用方法を各税務署などに十分に指示しておらず、権利行使の情報も活用できていなかった。そのため、各税務署が申告内容を適切に確認していなかったという。
国税庁は今年8月、検査院の指摘を受け、リストを活用する方法などについて各税務署に周知した。取材に「指摘を受けて様々な措置を講じた。適正・公平な課税の実現に務めたい」とした。
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