スペースXが開発する大型宇宙船「スターシップ」=ロイター

【ヒューストン=大平祐嗣】米航空宇宙局(NASA)のダフィー暫定長官は21日までに、イーロン・マスク氏率いる米スペースXの月面着陸船の開発が「遅れている」と指摘した。2030年に月面着陸を目指す中国に先んじるため、他の企業の宇宙船も候補に入れるとした。27年半ばとしてきた月面着陸の時期の遅れも示唆した。

ダフィー氏は20日、米CNBCと米FOXニュースの取材に応じ、NASAによる有人月探査計画「アルテミス」の第3弾で月面着陸を予定するアルテミス3に言及した。スペースXの大型宇宙船「スターシップ」を着陸船に使う計画だが開発が遅れているという。

ダフィー氏は「1社を待つことはできない」として、ジェフ・ベゾス氏が率いる米ブルーオリジンの名前を例に挙げて、先に準備ができた企業の宇宙船を採用する考えを示した。他にも候補となる企業があるという。

アルテミス3の実施時期は「数年後」とした。NASAは従来27年半ばの打ち上げとしており、遅れが生じる可能性を示唆した。トランプ米大統領の任期(29年1月)までに実施する意向も示した。

NASAは1960〜70年代に月面着陸を実現させたものの、その後は着陸していない。アルテミスは月面着陸が目的ではなく、人類初の月の南極の到達や、その後の月面基地の設立、火星探査を見据えている。NASAは同様に計画を持つ中国に先んじて月面探査を進めたい考えだ。

スペースXは10月中旬にスターシップの打ち上げに成功したものの、今年は3回連続で失敗し、6月には地上試験でも爆発を起こしていた。

【関連記事】

  • ・スペースXの大型船打ち上げ試験、2回連続成功 月・火星探査へ前進
  • ・NASA、アポロ計画以来の有人月探査 26年2月にも打ち上げ
  • ・米国が26年に有人で月周回へ 中国猛追に焦り、激しさ増す覇権争い

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。