発表会に登壇した角田望CEO(22日、東京都渋谷区)

人工知能(AI)を活用した法務業務の効率化を手掛けるリーガルオンテクノロジーズ(東京・渋谷)は22日、ドイツでAIによるコーポレートガバナンス(企業統治)支援を手掛けるFides Technology(フィデステクノロジー)を買収したと発表した。新会社も設立し、ガバナンスや営業支援など法務以外の領域に事業を広げる。

リーガルオンが他社をM&A(合併・買収)するのは初めて。フィデステクノロジーの創業者やベンチャーキャピタル(VC)などの既存株主から全株式を取得した。取得金額は非公表としている。

フィデステクノロジーは独ミュンヘンを拠点に2021年に設立された。社員数は約20人。ESG(環境・社会・企業統治)への対応や取締役会の管理などのガバナンス業務をAIで効率的に管理できるサービスを世界100カ国以上で展開する。まずは欧米で拡大し、将来は日本にもサービスを展開する予定だ。

リーガルオンはAIで契約書の審査や管理などの企業法務を支援する「LegalOn(リーガルオン)」を主力とし、国内外の7500社以上が導入する。19年にサービスを始め、ソフトウエアの提供を通じて継続的に得られる収入を示す年間経常収益(ARR)は100億円を超えた。今回フィデスを傘下に収めることで、今後は契約管理だけでなく、リスク管理やガバナンスも包括的に支援できる体制を整える。

リーガルオンは法務以外の新領域に参入するため、全額出資の新会社「On Technologies」(オンテクノロジーズ、東京・渋谷)をこのほど設立した。メールへの自動返信などで営業を支援するAI「DealOn(ディール・オン)」と、上級管理職向けAIアシスタント「CXOn(シーエックス・オン)」を25年度内に投入する予定で、年内には無料の試験提供を始める。

リーガルオンの角田望最高経営責任者(CEO)は同日の発表会で「今後は人事やファイナンス、マーケティングを含めた専門領域を対象にAIサービスの展開を拡大したい」と話した。

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