コストコは四国全域からの集客も目指す

会員制量販店のコストコを運営するコストコホールセールジャパン(千葉県木更津市)は22日、2027年度中に愛媛県東温市に出店する方針を明らかにした。四国への出店は初めて。同店は倉庫のような大型店舗に食料品や生活雑貨などを大量に並べて販売する独自の店づくりが特徴。四国全域からの集客を見込んでおり、県や東温市は雇用創出など地域経済への波及効果も期待する。

同社のケン・テリオ社長が同日、中村時広知事、加藤章・東温市長とともに愛媛県庁で会見して明らかにした。「東温倉庫店(仮称)」の出店予定地は東温市北野田の農地。約6万6000平方メートルの敷地に床面積が1万5000平方メートルの店舗を建設し、1000台が収容できる駐車場も設ける。

ショッピングセンターのフジグラン重信と国道11号を挟んだ南側になる。近隣には24年3月に開通した松山自動車道東温スマートインターチェンジもある。コストコホールセールジャパンは近く地権者と契約を進め、県や市に農地転用の申請をする予定だ。ケン・テリオ社長は「東温市は愛媛県の真ん中に位置し、四国各県からも車で数時間ほどでアクセスできる」と進出理由を話した。

コストコは米国に本社を置き、10月時点世界に900超の倉庫店を展開する。日本にも37店舗あり、四国近隣では広島県や兵庫県にも展開している。東温市の新店舗では400人を新たに雇用する予定で、半分が正社員になるという。同社は最低時給を1540円としており、東温市の店舗でも同様の時給が適用される見込み。愛媛県の最低賃金を大幅に上回る。

ケン・テリオ社長が中村知事㊧、加藤市長㊨と会見して出店を明らかにした(22日、愛媛県庁)

中村知事は同日、「交流人口の拡大など地域経済への波及効果も大きい。にぎわいづくりの拠点になる施設であり、地域活性化の起爆剤になることを期待する」と話した。加藤市長も「波及効果は市のまちづくりを押し上げてくれる」と期待する。同社によると、つくば倉庫店(茨城県つくば市)の周辺では出店前の11年に比べて24年時点で住宅が51%、事業所が17%増えたという。

県は20年2月ごろにコストコが四国に出店する可能性があるという情報を得て、同年11月ごろから中村知事らが同社と交渉を始めた。その後も東温市と協力して誘致活動を続けてきたという。東温市はコストコの出店などによって周辺の道路が混雑する可能性があるとみて、すでに国道11号につながる市道の改良に着手している。

いよぎんホールディングス傘下のシンクタンク、いよぎん地域経済研究センター(松山市)の菅正也主席研究員は「四国初出店ということのインパクトは大きく、周辺エリアからの集客による地域活性化への期待感はある。一方で、地元企業の経営環境や住民生活への影響などについては、十分注視していく必要がある」と話している。

(安部将隆)

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