
【ニューヨーク=秋田咲】米連邦準備理事会(FRB)が米大手金融機関などに課す資本規制を従来案より緩和する方向で調整していることが分かった。2023年の米地銀破綻を受け、バイデン前米政権が規制強化を目指したが米金融界からの反発が強く、トランプ米政権下で骨抜きになる公算が大きい。
米ブルームバーグ通信が検討中の修正案を報じた。大手行に求める資本の積み増し率を約3〜7%とこれまで示されてきた水準よりも低くする方向で検討しているという。
追加で積み増す資本の割合が小さくなれば、銀行側により有利な見直しとなる。FRBは2026年第1四半期中にも新たな計画を発表する予定だ。ブルームバーグ通信によると、現在の修正案はまだ最終決定していないという。
大手銀への資本規制強化は国際規制「バーゼル3」の最終適用に伴うものだ。「バーゼル3エンドゲーム(最終化)」などとも呼ばれ、金融システムの安定化のため大手行により厳しい資本要件を課すことを目的としている。金融危機などの有事のリスクを抑える狙いがある。
融資コストの上昇や銀行の国際的な競争力を削ぎかねないなどの懸念から、米金融界を中心に抵抗感は根強い。
6月に就任したFRBのボウマン金融監督担当副議長は規制緩和に前向きで、大手行などでは期待が高まっている。23年夏に前任の副議長が主導した当初案では巨大銀行(G-SIB)に必要資本を平均19%上積みするよう求めた。だが米銀や当時野党だった共和党からの強い反発を招き撤回していた。
その後に上積み分を半分ほどに圧縮した修正案も正規の提案にはならず、パウエル議長は2月の議会証言で「再提案する」と述べていた。
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