
石油化学工業会(東京・中央)は23日、エチレン生産設備の2025年9月の稼働率が77.6%(速報ベース)だったと発表した。好不況の目安とされる90%を38カ月連続で下回った。中国での増産による供給過多の影響や人口減少による内需の低下を背景に低迷が続いている。
エチレンは自動車や家電などに使う合成樹脂の原料となる。9月の生産量は前年同月比11%増の43万800トンだった。24年9月は1社1プラントが2〜4年に一度、2カ月程度稼働を止める定期修理が入っていた。現在はすべてのプラントが稼働しているため生産が増えた。
主要4樹脂(低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン)の国内出荷は、すべて前年同月を上回った。一方で輸出はすべての樹脂で前年割れだった。
稼働率が低迷する中、化学各社はエチレン生産設備の集約に向けて動いている。旭化成、三井化学、三菱ケミカルグループの3社は西日本の2基のプラントを1基に集約する検討を進める。基礎化学品のエチレンなどから作られる中間原料にあたるポリオレフィンでも集約が進んでおり、9月には三井化学、出光興産、住友化学の3社がポリオレフィン事業の統合を発表した。
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