東京都のグリーン水素製造拠点が稼働した(23日、東京都大田区)

東京都が山梨県と共同研究開発を進めていたグリーン水素の大規模製造拠点の第1期工事が完了し、東京都大田区で開所式を23日に開いた。水素は同県の水力発電所の電気を使って製造し、東京ビッグサイトなどの都有施設で使う。脱炭素社会の実現に向けて水素エネルギーの活用を進める。

新施設の名称は「京浜島グリーン水素製造所」。式典で小池百合子都知事は「脱炭素とエネルギーの安定確保を両立する都市モデルを作っていく。その切り札がグリーン水素だ」と力を込めた。山梨県の長崎幸太郎知事も「都と県が連携し世界のトップランナーとして国際社会をけん引していけると確信する」とあいさつした。

グリーン水素は製造の過程で再生可能エネルギー由来の電力を利用する。製造時に二酸化炭素(CO2)が排出されず環境負荷が軽い。今回稼働した施設では、東京電力を通じ山梨県の水力発電所の電気を購入し水素を生産する。原料となる水は都水道局から供給を受ける。

第1期工事では500キロワット(kW)級の水電解装置1基を設置した。1時間あたり120立方メートル、年20トンを生産する。手始めに東京ビッグサイトやお台場海浜公園などの都有施設で利用する。

従来型の水素製造設備より床面積を3分の2に縮小した。2027年度に装置を増設し製造能力を3倍にする。今後、森ケ崎水再生センター(大田区)で下水汚泥由来のCO2とあわせて合成メタンを製造するほか、化粧品の原料としての利用や都内の水素ステーションへの供給なども検討するという。

第1期工事で設置された水電解装置(23日、東京都大田区)

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