「若者交流サロン」で会話する参加者ら=秋田県横手市で2025年10月9日、工藤哲撮影

 地元で就職したが、悩みを相談できる「同期」が少ない――。地方で若者が減り、地元に残った若手社員には、こうした悩みを抱える人がいる。そんな課題に応えようと、新たな同世代の知り合いを増やすための「若者交流サロン」が秋田県横手市で開かれた。主催者は「地元で働くのは一人じゃないと知ってほしい」と若い世代を激励している。

 サロンはハローワーク横手や県の出先機関などの共催で9日に開かれた。地元企業などの間で「入社間もない若手社員が社内でなかなか相談しづらく、離職の一因になっている」という声があることから、横手市内の職場に勤める就職から3年以内の男女約25人が職場の勧めなどで集まり、互いの仕事や休日の過ごし方などについて意見を交わした。最初は初対面で緊張気味だった参加者も、次第に打ち解けて笑顔を見せていた。終了後には「話して少し気が楽になった」「いろんな職場の様子が聞けて新鮮だった」といった声が上がった。

 ハローワーク横手によると、地元周辺では人手不足が進み、高校生の新卒者1人に対して5社ほどの求人がある。中小企業が多い事情から「同期」が数人、あるいはゼロという会社もある。「高校を出て19歳で入社したら、最も年が近い若手社員が30代といった職場もある。10歳も年齢が離れていると悩みを打ち明けたり、コミュニケーションを図ったりすることがなかなか難しい場合がある。こうした状況が続くと、職場で孤立感を強める要因になりかねない」という。

 ハローワーク横手の就職支援ナビゲーターの古家雅浩さんは「仕事が忙しくて職場と家の往復の生活、または夜間も含めたシフト勤務などで、新たな人と知り合うきっかけが限られている人は多い。だが『決して自分だけではない』と知ってほしい」と話し、こうしたイベントへの気軽な参加を呼びかけている。

 一方、秋田市では20~30代の若者が男女50人ずつ集まり、知り合うきっかけにつなげるイベント「あきこん」も13日に開かれた。主催した秋田県は「出会いを希望する若者のためにこうした場を今後も提供していきたい」としている。【工藤哲】

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