
 ゼブラ(東京・新宿)がキャラクターなどの知的財産(IP)ビジネスやデジタルペンといった新規事業に取り組んでいる。8月には14年ぶりに企業CMをテレビで放映、同社の新しい挑戦をアピールした。石川太郎社長に展望を聞いた。
ゼブラ(東京・新宿)がキャラクターなどの知的財産(IP)ビジネスやデジタルペンといった新規事業に取り組んでいる。8月には14年ぶりに企業CMをテレビで放映、同社の新しい挑戦をアピールした。石川太郎社長に展望を聞いた。

――IPビジネスはどのように展開しますか。
「2024年6月に油性ペン『ハイマッキー』のキャラクターを発表した。今年はキャラクターを使った企業CMを放映したり、期間限定のポップアップストアを開いたりした。投資額としては初年度の3倍ほどだ。(商品化について)10社ほどから引き合いがあり、すでに日本出版販売などと契約した」

――キャラクター化したのはなぜですか。
「26年に発売50周年を迎える。定番品のため長く店頭でプロモーションをしていなかった。社内で『キャラクターにしたら面白いのでは』という提案があった。かわいいキャラクターができたので、IPビジネスに参入することにした」
――ハイマッキーを使ったイベントも開催します。
「子供を対象に、ハイマッキーを使った手書きのワークショップを定期的に開催する。『書くをエンターテインメントに』というビジョンに沿って、手書きの価値の一つである、書いているときのワクワク感を体験する場を多く作りたい」
――14年ぶりに企業CMも放映しました。
「ゼブラの新しい挑戦を、社員や消費者に明確に打ち出すためだ。筆記具のメーカーから、『書く』を主軸に新しい商品やサービス、体験を提供する会社になる」
――デジタルペン「T-Pen」も新しい取り組みですか。
「センサー搭載のT-Penで書き手の筆圧や角度、速度を分析して人が筆記具を使うとき、脳や心がどう変化するのかを研究している」
――今後、どのように展開しますか。
「T-Penは技術として発表した。新しい価値を創造できるビジネスパートナーを募集している。医療やエンタメ、服飾業界などと協業できる可能性がある」
――新規事業の売り上げ目標はどれぐらいに設定していますか。
「新規事業全体で10年後に本社管轄の売り上げの10〜15%くらいを目指したい。現状は1%もない」
石川太郎氏(いしかわ・たろう) 05年(平17年)慶大商卒。08年ゼブラ入社。22年4月社長。東京都出身。43歳。筆記の効用、各社が模索 読書や睡眠との関係調査
手書きがデジタル入力に置き換わりつつあるなか、文房具各社は筆記と脳の研究を進めている。パイロットコーポレーションは9月に筆記と読書の関係性に関する調査結果を公表した。三菱鉛筆も手書きの日記が睡眠の質を高める可能性があると発表している。
ゼブラの2025年3月期の連結売上高は前の期比1%増の410億円で、海外売上高比率は6割を超えた。主力のマーカーペン「マイルドライナー」の売上高は約7割が海外だ。中国や米国を中心に現地需要に合った商品を展開している。
国内では高付加価値品が売れている。筆記時にブレず、軽く書けるボールペン「ブレンU(ユー)」や、大人の女性が使いやすいデザインの「サラサグランド」などで成長を目指す。(甲斐嗣弓)
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