NTT西日本は27日、生成人工知能(AI)で声優やアーティストの音声を加工して提供する新事業「ヴォイセンス」を始めた。生成AIで声を無断利用した悪質な「フェイク(偽)音声」が問題となっていることから、正規の音声利用を担保する事業で「声の権利」保護を図る。
NTT西によると、生成AIの普及に伴い、人気声優の声を元にした音声が本人の許可なく作成され、交流サイト(SNS)上で拡散。本人のブランドが毀損(きそん)されたり、ビジネス上の不利益が生じたりしているという。
ヴォイセンスでは、声優やアーティストなどと契約した上で音声データを収録し、その声色のままでAI音声を生成してしゃべらせる。6カ国語の多言語対応も可能だ。独自技術で無断生成ではないことを証明するデータをAI音声に付与し、「音声IP(知的財産)」として、元の声とともに保管・管理するプラットフォームを構築した。
企業広告やインバウンド(訪日外国人)向け観光コンテンツ、多言語配信コンテンツなどの企画から制作まで請け負い、収益化する。売り上げ目標は2027年度に10億円、35年度にグループ全体で1000億円規模を目指す。
東京都内で記者会見したNTT西の花城高志カンパニー長は「AIやデジタル技術の進化で誰もが声を作り、世界中に共有できる時代になったが、権利や価値を守る仕組みは十分に整っていない。声を安全に預かって正しく活用し、その価値を高めていく」と述べた。【町野幸】
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